2022年7月スリランカのウィクラマシンハ首相が国の「破綻」を宣言しました。
スリランカという国が破綻するというのはどういうことなのか、原因や日本への影響について子供向けに簡単にわかりやすくお伝えします。
Contents
【子供向けにわかりやすく説明】スリランカ破産!
スリランカの経済危機はいつから?
7月5日、経済危機に陥っていたスリランカのウィクラマシンハ首相が演説し、国の「破産」を宣言しました。
スリランカは今年年末にもインフレ率が60%に達するとも言われているので、今後は金融支援を受けるために国際通貨基金(IMF)との交渉を進めていくようです。
スリランカは、2010年代後半から経済が上手く回らなくなっていましたが、2019年頃から急激な経済成長率の低下があり、近年経済危機に陥っていました。
- 2010年頃:経済成長率低迷し始める
- 2019年頃:コロンボの連続爆破テロ、コロナ禍で観光客減少
- 2022年2月:ロシアウクライナ戦争の影響を受ける
- 2022年7月5日:スリランカ破産宣言
国の破産ってどういうこと?
人間が自己破産したり、企業が倒産することがあるように、国も自己破産することがあります。
国の破産=国の借金を返金できなくなった状態=デフォルトといいます。
国の通貨価値がなくなって、その国に投資や支援したいと思う人がいなくなる状態です。
将来的に日本もスリランカと同じような状況に陥ると考えてる評論家の人たちもいますね。
【簡単にわかりやすく説明】スリランカ破産の原因は?
急速なインフレ
日本でも近年、インフレが進んでいますが、スリランカでも日本以上のインフレ状態が続いていました。
インフレとは「インフレーション」の略で、物の価値が上がり続ける状態のことをいいます。
物の価値が上がる=お金の価値が下がるということ。
これまで100円で買えたハンバーガーが200円でしか買えなくなった
=これまでの2倍のお金が必要になり、お金の価値は半分になった
ということです。
これまで1kg80ルピーのお米が500ルピーになったと言われています。
ロシア×ウクライナ戦争
スリランカのインフレの原因の1つはロシアとウクライナの戦争です。
ロシアのウクライナへの侵攻によって、スリランカも大打撃を喰らいました。
日本でもガソリンの価格が急騰していますが、スリランカでもガソリンやディーゼルが不足しました。
ロシアとウクライナの戦争だけが原因ではなく、それ以前からスリランカの通貨であるルピーの価値が下がっていたこともあり、ガソリンやディーゼル、食料品の価格が高くなり、生活苦になっていました。
新型コロナウイルスの拡大
これまでスリランカは主な産業といえば観光業でした。
しかし2019年4月に起きたコロンボの高級ホテルや協会など8ヶ所での連続爆破テロで日本人1人をあわせた260人が死亡、500人以上が怪我をする事件が発生。
また新型コロナウイルスの影響もあり、スリランカを訪れる観光客が大幅に減ったことで外貨収入がなくなり、国家収入が大きく減少。
経済情勢の悪化により、スリランカではあちこちでデモが起こるようになりました。
ラージャパクサー一族の支配
⬜️スリランカが「破産」宣言https://t.co/lRcfYaboq1
これ、一帯一路に参加したスリランカが中国に”借金漬け”にされた事が背景にあるのよ、近いうちにYouTubeチャンネルで解説しますね!
— フィフィ (@FIFI_Egypt) July 6, 2022
スリランカの大統領は、ゴタバヤ・ラージャパクサという人物です。
このラージャパクサ一族は、兄弟でスリランカの大統領と首相をしていて、スリランカはいわば一族支配の国。
ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領は、税率を30%カットするなど人気政策を実施しましたが、これにより国の税収が少なくなったことで国民へ財政支援をするのが難しくなりました。
悪循環ですね。
このラージャパクサ一族の支配もスリランカが破産した原因だと言われています。
中国からのローン
スリランカは中国の債務の罠にハマったとも言われています。
債務の罠とは、融資を受けた国が借金を返済できなくなり、相手国に権利譲渡したり、軍事的または外交的に協力したりすることです。
中国は巨大経済圏構想「一帯一路」としてインフラ整備にスリランカへ巨額の融資を行っていました。
スリランカの中国へのローンは日本円で3900億円ほどあるらしいです。
スリランカの破産の原因=中国と言われる理由として以下の2つが指摘されています。
- 経済危機に陥ったスリランカがさらなる融資を中国に依頼したが、中国はそれを拒否したから
- 巨額のローンにより中国の影響力が増したから
スリランカの破産は中国が原因ではないという意見もあるので、これに関しては色んな見方があるようです。
外国が融資に応じなかった
コロナ禍で、ウクライナ戦争も相まって、経済危機に陥ったスリランカは中国だけではなく、外国にも経済協力を求めました。
しかしローンを返す見込みがなさそうなスリランカに協力してくれる国は少なかったみたいです。
スリランカ破産!日本への影響は?
スリランカはインド洋に位置していることもあり、南アジアの物流拠点としても知られています。
日本とスリランカは貿易関係にありますが、日本からの輸出額は年々減ってきている傾向にあります。
年 | 日本の輸出(100万ドル) | 日本の輸入(100万ドル) |
---|---|---|
2018 | 1,257 | 274 |
2019 | 633 | 333 |
2020 | 368 | 245 |
2021 | 324 | 285 |
スリランカから日本への主な輸入品としては
- 紅茶、コーヒー、香辛料
- ゴム製品
- 衣類
- 魚介類(まぐろ、えび等)
- 宝石
スリランカからこれらの品物を輸入できなくなるということは、日本にも少なからず影響はありそうです。
ちなみに日本からスリランカへ輸出している品物としては自動車や自動車関係部品、ゴム製品などがあります。
スリランカは主な日本の貿易国ではないとはいえ、今後新たな問題が浮上してくる可能性は高いですね。